歯科カウンセリングの流れとは?5つの手順を解説
「カウンセリングを導入しているものの、スタッフによって進め方が違う」
「患者様に何を、どの順番で聞けばよいのか分からない」
このような悩みを抱えている歯科医院もあるのではないでしょうか。
カウンセリングでは、質問項目を増やしたり、治療について詳しく説明したりするだけではなく、患者様が自分に合った治療を考えられるよう、流れを設計することが大切です。
そして、流れ以上に重要なのが、一つひとつのステップを「何のために行うのか」です。
同じ「ヒアリング」や「比較」を行っていても、その目的の捉え方によって、患者様とのコミュニケーションは変わります。
この記事を読むと、歯科医院で行うカウンセリングの基本的な流れと、LUCHTが大切にしている5つのステップの考え方が分かります。
「自院でもやっている」と思う内容が、本当に患者様の納得につながる形になっているか。
ぜひ照らし合わせながら読み進めてみてください。
目次
- 歯科カウンセリングの基本的な流れ
- 歯科カウンセリング5つの手順
- 5ステップに共通するのは「患者様が選べる状態をつくる」という考え
- 「5ステップをやっている」だけではカウンセリングは変わらない
- カウンセリングの流れを院内で決める3つのメリット
- カウンセリングを「知っている」から「できる」に変えるには
- 歯科カウンセリングは「流れ」だけでなく患者様に合わせることが大切
- よくある質問
- まとめ
歯科カウンセリングの基本的な流れ
歯科カウンセリングでは、患者様に治療方法を説明する前に、まずその方の希望や不安を理解することから始めます。
LUCHTでは、カウンセリングを次の5つのステップで進めることを推奨しています。

一見すると、特別な流れには見えないかもしれません。
しかし、LUCHTが重視しているのは、単にこの順番どおりに話すことではありません。
例えば「比較」であれば、複数の治療方法を並べて患者様に選んでもらうことが目的ではありません。
「クロージング」も、その場で治療を決めてもらうためだけのものではありません。
5つのステップそれぞれの目的を理解し、患者様が自分自身で納得して治療を選べる状態をつくること。
これが、LUCHTがカウンセリングの流れを設計するうえで大切にしている考え方です。
歯科カウンセリング5つの手順
ここからは、それぞれのステップについて詳しく解説します。
ただ手順を覚えるのではなく、「何のために行うのか」という視点から見ていきましょう。
①ヒアリング|「質問する」のではなく、患者様を理解する
最初に行うのがヒアリングです。
症状や治療歴だけではなく、患者様が治療について何を希望し、何を不安に感じているのかを確認します。
例えば、
- 治療によってどうなりたいですか?
- 治療について不安に感じていることはありますか?
- 治療を選ぶうえで大切にしたいことはありますか?
- 費用や治療期間について気になることはありますか?
といった質問が考えられます。
しかし、大切なのは質問項目をすべて聞くことではありません。
例えば患者様が「見た目をきれいにしたい」と答えたとき、その言葉だけでヒアリングを終えるのではなく、
「なぜ、そう思われたのですか?」
と一歩踏み込んでみる。
すると、「人前で話す仕事だから」「結婚式を控えているから」など、その方が治療を希望する背景が見えてくることがあります。
ヒアリングの目的は、質問票を埋めることではありません。
患者様が何を大切にしているのかを理解し、患者様自身もまだ言葉にできていない希望や不安を一緒に整理していくことが重要です。
②提案|「おすすめを伝える」のではなく、希望と治療をつなぐ
ヒアリングで患者様の希望や不安を確認したら、次に治療の選択肢を提案します。
ここでも、「提案=おすすめの治療を説明すること」と捉えないことが大切です。
患者様によって、治療で重視することは異なります。
見た目を大切にしたい方もいれば、費用や治療期間を重視する方もいます。
だからこそ、ヒアリングで聞いた内容をもとに、
「この患者様が大切にしていること」と「治療の選択肢」をつなぐ
という視点で提案します。
すべての治療方法を順番に説明することが、丁寧な提案とは限りません。
患者様の希望を理解したうえで必要な情報を整理することで、患者様自身も治療を自分ごととして考えやすくなります。
③提案の理由|「なぜあなたに提案するのか」を伝える
治療方法を提案したら、その理由まで伝えます。
例えば、
「見た目をできるだけ自然にしたいとお話しされていたので、そのご希望を踏まえると、こちらの治療方法も選択肢の一つとして考えられます。」
という伝え方です。
単に、
「こちらがおすすめです」
と伝えるのではなく、患者様自身が話した希望と提案の理由を結びつけます。
治療そのもののメリットをたくさん伝えることと、「なぜ自分にこの治療が提案されているのか」を理解できることは同じではありません。
提案の理由を患者様自身の言葉に戻して伝えることで、患者様も自分が大切にしたいことと照らし合わせながら治療を考えやすくなります。
④比較|「並べる」のではなく、患者様の希望を軸に整理する
提案した治療について説明した後は、他の選択肢との違いを整理します。
ここは、カウンセリングの中でも誤解されやすいポイントの一つです。
比較というと、
「A・B・Cという治療があります。それぞれのメリット・デメリットはこちらです。どれにしますか?」
と選択肢を並べることをイメージするかもしれません。
しかし、LUCHTが考える比較の目的は、選択肢を並べて患者様に選んでもらうことではありません。
比較には、一つの治療を一方的に勧めることを避けながら、患者様が納得して選択できる状態をつくる役割があります。
そのため、費用や見た目、治療期間などをすべて同じように説明するのではなく、ヒアリングで分かった患者様の希望や価値観を軸に整理します。
例えば、
「もちろん、ほかにも〇〇という選択肢があります。ただ、〇〇さんは『できるだけ見た目を自然にしたい』とお話しされていたので、そのご希望を考えると、△△の点では少し合わない可能性があります。」
といった伝え方です。
これは「この治療しかありません」と選択肢を狭めるものではありません。
他の選択肢も示したうえで、それぞれが患者様の希望とどう合うのかを整理するという考え方です。
比較の目的は、医院側が治療を決めることではありません。
選択肢を整理して患者様に返し、最終的な選択権を患者様自身に戻すこと。
「比較=並べること」から「比較=整理すること」へ視点を変えるだけでも、患者様への伝え方は変わってきます。

⑤クロージング|「決めてもらう」のではなく、迷いを確認する
クロージングという言葉から、
「患者様に治療を決めてもらう場」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、LUCHTでは、クロージングを患者様に決断を迫る時間とは考えていません。
大切なのは、ここまでのカウンセリングを通して、患者様が自分で判断できる状態になっているかを確認することです。
例えば、
「ここまで聞いて、分かりにくかったところはありませんか?」
「まだ迷っている部分や、もう少し詳しく聞きたいことはありますか?」
などと確認します。
患者様から「検討したい」と言われたときも、それだけで「断られた」と判断する必要はありません。
まだ情報を整理できていないのか、費用で迷っているのか、家族と相談したいのか。
何について迷っているのかを確認することで、患者様にとって必要な情報が見えてくることがあります。
クロージングのゴールは、その場で治療を決めてもらうことではなく、患者様自身が納得して意思決定できる状態をつくることです。
5ステップに共通するのは「患者様が選べる状態をつくる」という考え方
ここまで5つのステップを見てきました。
改めて整理すると、LUCHTが大切にしている考え方には共通点があります。
医院側が「話す・勧める・決める」のではなく、患者様が「話す・理解する・選ぶ」ためのサポートをすることです。
ヒアリングは、質問するためではなく患者様を理解するため。
提案は、おすすめを伝えるためではなく、患者様の希望と治療をつなぐため。
比較は、選択肢を並べるためではなく、患者様が判断できるよう整理するため。
クロージングは、治療を決めてもらうためではなく、自分で選べる状態になっているか確認するためです。
カウンセリングの流れを整える目的は、成約のためのトークを型にはめることではありません。
患者様が納得して意思決定するために必要なコミュニケーションを、抜けなく行える「型」をつくることにあります。
「5ステップをやっている」だけではカウンセリングは変わらない
ここまで読んで、
「うちでも、この5つはやっている」
と思った方もいるかもしれません。
では、少し視点を変えて振り返ってみてください。
ヒアリングは、用意された質問項目を埋めることが目的になっていないでしょうか。
提案では、医院側がおすすめしたい治療のメリットを中心に説明していないでしょうか。
比較では、複数の治療を説明したあと、「どれにしますか?」と患者様に判断を委ねていないでしょうか。
クロージングでは、「今日治療を決めてもらうこと」がゴールになっていないでしょうか。
同じ5つのステップを行っていても、「何のために行うのか」という目的が違えば、患者様への言葉や対応も変わります。
だからこそ、カウンセリングの流れを作るだけでは十分ではありません。
一つひとつの行動の目的まで、スタッフ間で共有することが重要です。
カウンセリングの流れを院内で決める3つのメリット
基本となる流れと、その目的を院内で共有することは、患者様への対応だけでなくスタッフ教育にも役立ちます。
スタッフによる進め方のばらつきを減らしやすい
カウンセリングを個人の経験だけに任せていると、担当者によって質問内容や説明の順番、患者様への提案方法が変わることがあります。
基本となる流れと目的を共有しておけば、「何を聞くか」だけではなく、「なぜそれを聞くのか」まで共通認識を持ちやすくなります。
ただし、台本どおりに話すことが目的ではありません。
基本となる考え方を共有したうえで、患者様に合わせて対応を変えることが重要です。
聞き漏らし・伝え漏らしに気づきやすくなる
基本となる流れがあることで、
「希望を十分に確認しないまま提案していなかったか」
「提案の理由を伝えられていたか」
「比較したうえで、選択権を患者様に戻せていたか」
などを振り返りやすくなります。
5ステップは、患者様との会話を縛るマニュアルではなく、カウンセリングを振り返るための基準としても活用できます。
スタッフ教育や振り返りがしやすくなる
「もっと患者様の話を聞きましょう」と伝えるだけでは、スタッフ自身も何を改善すればよいのか分からないことがあります。
基本の流れと目的が共有されていれば、
「ヒアリングで患者様の背景まで確認できていたか」
「提案の理由を患者様の希望と結びつけられていたか」
など、具体的に振り返ることができます。
新人教育やロールプレイでも、共通の視点として活用しやすくなります。
カウンセリングを「知っている」から「できる」に変えるには
カウンセリングの考え方を理解することと、実際の患者様を前に実践できることは別です。
患者様の希望や不安、反応は一人ひとり異なります。
そのため、決まったトークスクリプトを覚えるだけでは、想定外の回答が返ってきたときに対応できないことがあります。
例えば「なぜそう思われたのですか?」と聞くことを覚えても、返ってきた言葉をどう受け止め、どこまで掘り下げ、どのように提案へつなげるのかは、実際のコミュニケーションの中で考える必要があります。
さらに、一人のスタッフだけができるようになっても、医院全体のカウンセリングが変わるとは限りません。
だからこそ必要なのが、
考え方を理解する → 実践する → 振り返る → 改善する
という繰り返しです。
LUCHTでは、カウンセリングの「型」を覚えるだけではなく、一つひとつの行動の目的を理解し、実践と振り返りを重ねながら、スタッフが現場で活用できる状態をつくることを大切にしています。
歯科カウンセリングは「流れ」だけでなく患者様に合わせることが大切
歯科カウンセリングの基本的な流れを決めることで、院内で共通の基準を持ちやすくなります。
一方で、5つのステップは、すべての患者様に同じ質問を同じ順番で行うための台本ではありません。
じっくり話したい方もいれば、必要な情報を簡潔に知りたい方もいます。
不安が強い方と、すでに希望する治療が決まっている方でも、必要なコミュニケーションは異なります。
大切なのは「5ステップどおりに話せたか」ではなく、その患者様が自分で納得して治療を選べる状態をつくれたかどうかです。
基本の流れを持ちながら、患者様の希望や反応に応じて質問や説明を調整する。
それが、患者様一人ひとりの意思決定を支えるカウンセリングにつながります。
Q. 歯科カウンセリングでは何を聞けばよいですか?
患者様の症状だけでなく、治療への希望や不安、費用・期間について気になることなどを確認します。質問項目を埋めることを目的にせず、患者様が何を大切にしているのかを理解することが重要です。
Q. 歯科カウンセリングの時間はどのくらい必要ですか?
必要な時間は、カウンセリングの目的や患者様の状況によって異なります。時間を長く取ることよりも、限られた時間の中で何を確認し、どのように治療の選択肢につなげるかを院内で整理しておくことが大切です。
Q. カウンセリングはマニュアル化した方がよいですか?
基本的な流れや考え方を共有することは、スタッフ間のばらつきを減らすうえで役立ちます。ただし、決められた台本をそのまま話すのではなく、患者様の希望や反応に合わせて対応できる状態を目指すことが重要です。
Q. カウンセリングを院内に定着させるにはどうすればよいですか?
流れを共有するだけでなく、「なぜこの質問をするのか」など各ステップの目的までスタッフ間で共有することが大切です。ロールプレイや実践後の振り返りを行い、継続して改善できる仕組みをつくる方法もあります。
まとめ
歯科カウンセリングでは、流れを決めるだけでなく、それぞれのステップを「何のために行うのか」まで理解することが大切です。
- カウンセリングは「ヒアリング→提案→提案の理由→比較→クロージング」の5ステップで整理する
- 医院側が治療を決めるのではなく、患者様が納得して選べる状態をつくる
- 流れを知るだけでなく、実践と振り返りを重ねて院内に定着させる
カウンセリングの質を高めたい歯科医院様へ
「患者様に自費治療の価値が伝わらない」「説明しても『検討します』で終わってしまう」といったお悩みがある場合は、説明内容だけではなく、カウンセリングの進め方を見直すことで改善のきっかけが見つかるかもしれません。
LUCHTでは、患者様が納得して治療を選べるカウンセリングの仕組みづくりを、歯科医院様ごとにサポートしています。
カウンセリングや自費率向上についてお悩みの方は、お気軽にLUCHTの無料相談をご活用ください。
運営者情報
| 項目 | 内容 |
| 会社名 | 株式会社LUCHT(ルフト) |
| 代表 | 市村 明日菜 |
| 所在地 | 〒251-0055 神奈川県藤沢市南藤沢20-18 長塚第一ビル7階A号室 |
| 資本金 | 2,300万円 |
| 事業内容 | コンサルティング事業/研修・教育事業 |
執筆・監修

執筆:株式会社LUCHT 編集部
監修:市村 明日菜
(株式会社LUCHT 代表・接遇・カウンセリング研修講師)
大手美容クリニックのカウンセラーとして約8年間、カウンセリングに従事してきた。現場では、患者様が納得して治療を選択できるコミュニケーションを追求し、成果につながるカウンセリングを実践。新ブランドの立ち上げメンバーとして参画し、開院からわずか2か月での黒字化に貢献した。さらに、研修施設では講師として200名以上の新人育成を担当し、これまで延べ400名以上の医療従事者・スタッフの育成に携わってきた。
現在は、これまでの現場経験と指導経験を生かし、歯科医院向け研修サービス「LUCHT」において、院長・歯科医師・歯科衛生士・トリートメントコーディネーター(TC)を対象に、提案型カウンセリングや接遇、スタッフ教育を支援している。
出典・参考
- 厚生労働省「インフォームド・コンセント」
患者が説明を受け、分からないことを確認し、強制されることなく自ら意思決定するという基本的な考え方の参考。厚生労働省
厚生労働省「インフォームド・コンセント」 - Bomhof-Roordink H, et al. “Key components of shared decision making models: a systematic review.” BMJ Open. 2019.
Shared Decision Makingの40モデルをレビューし、「治療選択肢の説明」「患者の希望」「患者に合わせた情報提供」「患者を理解すること」などの主要要素を整理した研究です。今回の記事との関連性がかなり高いです。PubMed
PubMed掲載情報 - Land V, Parry R, Seymour J. “Communication practices that encourage and constrain shared decision making in health-care encounters: Systematic review of conversation analytic research.” Health Expectations. 2017.
医療者のコミュニケーションのあり方が、患者の意思決定への参加を促す場合も制限する場合もあることを整理したレビューです。特に今回の「医院側が決めるのではなく、患者様が選べる状態をつくる」という考え方の参考になります。PubMed
PubMed掲載情報 - Mills I, et al. “Defining patient-centred care in dentistry? A systematic review of the dental literature.” British Dental Journal. 2016.
歯科領域のPatient-Centred Care(患者中心のケア)について整理したレビューで、コミュニケーションや共同意思決定が重要な概念として扱われています。PubMed
PubMed掲載情報
【24時間受付中】ご質問・ご相談はLINEからお気軽にどうぞ
\ LINEお友だち追加限定 /
限定セミナー動画を無料プレゼント
Googel口コミの高評価を
集め続けられる本当の理由を徹底解説
サービスの詳細をまとめた
資料を無料でダウンロードいただけます
限定セミナー動画を無料プレゼント中
Google口コミの高評価を
集め続けられる本当の理由を徹底解説